グランピングとトレーラーハウス
グランピングとワーケーションコロナ禍で変わる働き方の意識と保健所と消防署だけで済まない許認可手続き
トレーラーハウス事業許認可実績が多数の行政書士
建物であるよう建物ではない、車両のようで車両ではない。どのように運用し、どのような許可などがいるのか、どのように設置しないといけないのか。様々な問題が正直言ってあります。実はこの問題をクリアにする法律がありません。強いて言うなら建築基準法第二条という感じでしょうか。法律や条例がない以上は国民の権利権益を制限できません。どの目線で取扱い設備基準を決めていくのかもグレーゾーンのところがあります。業者によっては「納品すれば問題ない」と割り切って後のことは知らんぷりというメーカーさんもあります。消費者の中には投資目的で買わされ、のちになって違法建築で行政から撤去などを求められるケースもあり、実際に弊所へご相談をされる方もいます。見晴らし坂行政書士事務所では、事前に設置できるかどうかなどを管轄の建築関連行政に確認を取ることも行っています。購入前に設置可否などをメーカーさんと協業して事前調査をお引き受けしていることもあります。各自治体の判断が結構バラバラという実際の現場を常に体験しています。例えば、県ではOKでも市ではだめや建築主事という立場の人の恣意的な判断もあるので、昨年の担当者はOKで今年の担当者はだめという判断をするケースもあります。
グランピングブームの潜む法的問題点
施設の側でテントのような屋外スペースを設営していて、中にはエアコンがあって、シャワーやらトイレが普通にある通常の豪華ホテルの設備が完備されいます。グランピングとは、グラマラスなキャンピングという造語になります。つまりアウトドアの中で都会にいるような設備を設置するということから、あるアウトドア専門家に言わせると「軟弱モノキャンプ」とも言われています。とはいえこのコロナ禍でのアウトドアブームで、こういった宿泊施設の形態が増えてきています。キャンプサイトだけであれば、場所貸しなので特段の許認可は必要ありませんが、寝具提供もあってとなると”宿泊業”となるので旅館営業許可が必要になってきます。それだけではなく、自然公園法、水質汚濁防止法などの法的制約も出てきます。テントの形状も屋根があれば建築基準法の制約を受けることもありますので非常に厄介なことに、これも行政協議が必要です。昨今ではドームテントを使用するケースもあり、これを建築確認がいるかどうかの解釈論がでてきています。この話は別途お話をしようかと思います。また、開設する土地が使用用途制限に抵触していないか、よくあるケースは市街化調整区域であるケースがあります。勘違いとして、「車両だから市街化調整区域は置ける」という考えです。これは例えば、運送業などの許認可の際に業務に使用する車両の駐車場にするケースが市街化調整区域にはあります。その駐車場に点呼をする事務所代わりにトレーラーハウスを置くということを認められるケースがあるのでそこからの勘違いかと思います。市街化調整区域内は建物は建てられないし、店舗や事務所を設置することは基本できません。こういった土地の公法制限についても精査する必要があるのです。
はやりのサウナやBBQ施設の設置も要注意が必要
”調える”という言葉がサウナ用語でありますが、サウナ設備を導入するにも様々な”調える”ことが数多くあります。まずは営業実態になりますが、宿泊者だけが利用するということであれば公衆浴場法 「その他の公衆浴場」の許可は必要ありません。しかしそうでなければ必要になります。また熱源の設置方法については消防法令に沿った耐熱、防火壁などの建材指定と壁面からの距離。安全面での柵などの設備基準が定められることになります。また冷水浴槽についても、塩素濃度や水質管理が問われますし排水についても下水道法や水濁法の届出等が必要になってきます。そしてBBQについては持ち込みの場合は特段届出等は必要ありませんが、簡単な厨房設備が存在する場合で宿泊営業許可取得施設の場合、水濁法の届出が必要とされるケースもあります。さらに意外に知られていないのが、提供する薪などがある場合、保管する量によっては、条令などで消防署に可燃物の保管届出が必要になることもあります。
グランピング施設のメリット
宿泊施設の建設などがインバウンド全盛時には数多く見受けられました。インバウンド6000万人時代へ”部屋が足りない”と部屋数を多くすることがブームとなってきました。外国人にとっては価格こそが選択基準で大半の判断基準になるので単価の安い運用と部屋数で売上アップということが主眼になっていました。しかしながらコロナ禍の中でその方法ではなく、客単価をどう上げていくかがポイントなっていたころにアウトドアブームが来て、客単価が稼げるグランピングが出てきたという感じでしょうか。実は弊所が民泊旅館業分野に携わるころに「一軒家」物件を宿泊施設にする方が多くいました。理由は外国人のお客様は家族一緒、5人以上で泊まることが多いということでホテルのスィートルームやコネクテッドルームを求めるケースが多いということです。しかし、そういったサービスを持つホテルや旅館が少ないということで一軒家を宿泊施設にするニーズマッチの理由と客単価を上げることが可能になるということもあるので非常に数多くの案件をさせていただいたことがありました。グランピングについてもADRをあげるには最適な施設になっています。ペットと同伴できる、小さなお子さんがいてもトイレや風呂の心配もなくアウトドア体験ができるということで、日本人の家族4人が楽しめる施設にすることで90%以上の稼働率を上げている施設もあります。あとトレーラーハウスなどの場合は建物をフルスクラッチで立てるよりも建設時間が短縮できるので、投資から回収へのタイミングがハコモノより早くなるというメリットがあります。今後は客単価の向上が期待できるグランピング事業が増えていくと考えていきます。それに合わせて見晴らし坂行政書士事務所も法的サポートを強化していきます。