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合同会社か株式会社かどっちで会社設立

会社のカタチをどうすればいいのか

会社を作るイメージ
会社を始めるときに、株式会社にするか合同会社にするかを考えることがあります。どのような判断要素に基づいて会社設立をしていけばいいのかをお話していきます。一般的に会社のカタチとしては現在、作ることができる会社は「株式会社」、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」の4種類です。
前述の二つの形態をとるケースが数多く見受けられます。
では他の二つの「合資会社」と「合名会社」とは何かといいますと、
「合名会社」の特徴は、無限責任社員だけで構成されることです。
原則、社員全員が会社の代表者であり、しかも会社が負債を抱えた場合には責任を負わないといけません。
地方の酒造醸造会社などによく見られる会社の形です。
「合名会社」、「合資会社」は資本の持ち寄り、資本の集まりで作る「物的会社」、即ち株式会社と異なり、人の集まりで作る「人的会社」と言います。
株式会社には資本金という項目がありますが、合名・合資会社には資本金の項目がありません。
酒・醤油・味噌という醸造業は、その土地の旧家・名家・名望家であることが多い大地主や大金持ち、つまりは資産家によって始められています。
金持ちが一人か身内一族だけで始めたものです。
他人に関与されず身内だけで経営してきました。それが明治時代になり会社制度が作られ、税対策などもあったでしょうが、
会社組織にしようとした時、そのまま自分たちの事業経営に最も相応しい合名・合資会社に移行したということが事情だと思われます。

安易な合同会社はやめておく

設立費用が安くつく合同会社の特徴は、とても自由度が高いことです。
有限責任社員のみで構成されており、出資者全員が経営に携われます。
取締役会などがなく、利益配分や意思決定の方法なども自由に決めることが可能です。
そのため、株式会社と比較すれば、自由な経営を行うことができるのです。
弊所のお客様の中には、宿泊業の許認可を合同会社で申請し、許認可権ごと売却する目的で
合同会社を設立することあります。つまり一人社長社員ゼロ法人であれば売買や権利移転がしやすいという
点を活かしているということです。
しかし、その反面で合同会社という名称の認知度が低く、株式会社と同等の価値を与えられていない現状があります。
取引先にこうした印象を与えることはマイナス要素になり、ビジネスの形態によっては避けたほうが賢明な場合もあります。
社内的には、合同会社への出資者は『社員』と呼ばれ、経営権を持ちます。
事業が拡大して社員が複数人いる場合は、その全員が経営に対する決定権を持ちます。出資額にかかわらず全員に同じ決定権が与えられます。
つまり社員間で意見が食い違った際に、上下関係を理由にした意思決定ができず、問題の解決や決定が困難になりかねません。
出資者である”社員”の地位をだれかに譲る場合、”社員”全員の同意が原則になります。したがって、権利譲渡はかなり慎重に行わなければなりません。
さらに、”代表社員”の継承も同様です。譲渡や継承をきっかけに社内が対立するリスクも考えられます。
こういった状況から”合同会社のままでこの事業にはご融資はできない”と金融機関では融資を断られた事例もあります。
なので、事業の将来会社を大きくするなどを考えた場合にはファーストチョイスで合同会社はお勧めしません。

株式会社にするメリット・デメリット

合同会社で気軽に会社を始めて、株式会社へ移行するということも考えられます。
費用も掛かることなので事業の内容性から判断し、弊所では株式会社の設立をお勧めします。
株式会社は多くの投資家から資金を集めて大きな事業をやりたい場合に向く組織形態です。
出資者は間接有限責任であり、出資金額を超えて損失を負うことがありません。そのため投資しやすくなっています。
いざという時は、自己の持ち株を放棄すれば、個人資産まで提供する必要がないということになります。
また、原則として、出資者である株主は一株一議決権を持ち、株主総会の多数決で会社の運営を決めますので、
一部の株主の反対意見があっても定款が変更できるなど素早く経営転換等ができます。
税制面でも利益が増えれば負担する税金も増えますが、株式会社のような法人は、多くの収入があっても個人事業より税負担を抑えやすいです。
理由としては、法人税が所得税のような累進課税ではないこと、社長への給与が社長個人の所得税の計算では給与所得控除となり、
法人税と所得税を合計しても有利になることがあること、法人は個人事業より必要経費として認められるものが多いこと、などがあります。
詳しくは税理士にお尋ねください。それにより個人事業主から法人にする損益分岐点計算も可能かと思います。
デメリットとしては、設立や役員の再任などに費用がかかります。株式会社を運営していくにあたっても費用がかかります。
本店の移転、役員(取締役や監査役など)の変更などは、登記しなければなりません。登記には登録免許税がかかります。
合同会社との比較では、役員の任期で違いがあります。株式会社では役員の任期が来れば、同じ人が役員に再任(重任)される場合でも
登記しなくてはならず、登録免許税が1万円かかります(資本金1億円以下の場合)。
株式会社の役員の任期は最長10年ですから、役員の変更登記の手間や費用はどうしても発生します。
株式会社には決算公告の義務があります。貸借対照表を「官報」「日刊新聞紙」「ホームページ」のいずれかで公開しなくてはなりません。
官報や新聞に掲載するには掲載料もかかります。一般の人に会社の財政状態を知られたくない人にはデメリットです。
株式会社では法人税の申告が必要になります。法人税の申告は、個人事業の青色申告よりも申告書作成が難しいので、税理士に依頼してください。
従業員はおらず社長一人で株式会社を営んでいる場合でも、健康保険(協会けんぽ)や厚生年金に加入し、自らの給与について、
所得税や健康保険や厚生年金などの源泉徴収を行って納付しなければなりません。
こうした事務を社会保険労務士や税理士に依頼することもできますが、費用はかかります。
以上の事から合同会社か株式会社の選択は慎重にしていく必要があります。